彼 というひとは。

すきなこと。
やりたいこと。
できること。

それは、どれも、違うもの　だ。
ふ、と感じた。

私は、ものを書くことが、すき。
自分のなかに、自ずとあふれでてくる　ことば　を　言葉　にして、
ﾃﾞｼﾞﾀﾙな画面なり、真っ白な紙面なりに綴る。

たいせつなひとからゆずり受けた言葉。
それは、たいせつなことばだから、綴る。


大学受験の秋。
美術の最後の課題として、ｸﾗｽ全員の協力を得て綴った
ｱｰﾄﾌﾞｯｸ。

校内のよく見た風景写真、
放課後残ったﾒﾝﾊﾞｰで、遊び半分で黒板に書き連ねてった、ひとつの詩。
悩んだ、悔しかった、痛かった想いに、そっと応えてくれた、ｺﾄﾊﾞ。
もう、拾うことのない、あの年の銀杏の葉。

消せない想い出がつまった、たった１冊しか存在しないもの。


―救われた。
―懐かしい。
―共感。
―強くなったね。

―最高だね、うちら。


そう。
すきなこと、だから　　それを生きる術として選べるか。
疑問に思えた。

すきだからこそ、嫌いになりかねないのではないか。
すき、だからこそ、いい距離感でいることも必要なときがあるのではないか。


すきなこと。
できること。
ﾍﾞｸﾄﾙが同じ方向ならば、なにも問題はないのだけれど。


私は、ものを書くことが、すきだ。
私は、食べることが、すきだ。
私は、料理をすることが、すきだ。
私は、なにかを　創ることが、すきだ。

私は、なにかを　かんじることが、すきだ。



でも、
やりたいこと。
できること。

それって、なににあたるんだろう。




いま、ｲﾁﾊﾞﾝの　ｱﾀﾏの抱えどころ。





とても素晴らしいﾋﾞｼﾞｮﾝを描いている。
私よりも、ｸﾞｲｸﾞｲ上へのぼりつめる。
ずっと　決して、目を伏せることなく、　自分　でいる。
彼　というひとは。

離れているのに。

彼、は。




それでも、私を気にかけてくれる、

友。